「軸」とは日本古来からある観念ですが、その軸には脳のはたらきが深く関係しています。
脳のはたらきは、まだまだ不明瞭で不可思議な分野ですが、「軸」に関わる「立つ」ことに脳の反射が関わっているので今回はいつもより難しい内容ですがご紹介していきます。
目次
脳のはたらき
- 感覚・認識
- 運動の制御
- 意識
- 感情・情動
- 記憶・学習
大まかに5つありますが、これらの機能は、脳の部分により分担されています
1.感覚・認識
五感の見る、聴く、嗅ぐ、味わう、触れるです。
五感はもともと古代ギリシャの哲学者アリストテレスによる分類がきっかけとなり始まっています。その後様々な文化に引き継がれ現代に至っています。
現在感覚は5つ以上と言われており、細かく分類すると20余りあるとも言われています。内臓感覚や平衡感覚もそうです。
クジラブ
カピバラさん
2.運動の制御
自動的な運動制御:脊椎動物による反射。不随意運動。意識することなく行われるものです。
反射の中枢は脳や脊髄にあります
意識的な運動制御:随意運動。自分の意思によって行われる運動です。
脳からの命令(意志)によって、運動や活動をしていることです。
3.意識
意識:一般的には起きている状態(覚醒)のことや、自分の今ある状態や、周囲の状況などを認識出来ている状態のことを指します。
ただ歴史や文化により色々な使われ方をします。日本では、プロ意識や意識改革といった心的現象にも用いられます。
4.感情・情動
感情:人間や動物がものごとや対象に対して抱く気持ちのことです。喜び、怒り、悲しみ、驚きなどがあります。
情動:五感など感覚から得た情報に対する、喜び、怒り、悲しみ、驚きといったような気持ちのことです。
5.記憶・学習
記憶:過去の影響がなんらかの形で残ることです。
学習:経験によって人間や動物の行動が変容することです。
自動的な運動:反射
反射:危険から守ることや、体のはたらきを調節することで、安全に生きるために生まれつきカラダに備わっている反応の仕組みです。大脳を経由することなく生じる、刺激に対する無意識的、自動的反応のことです。しかし首から上の無意識的、自動的反応は大脳を経由します。(無条件反射)
ハム
カピバラさん
- 姿勢反射:姿勢を維持しようと無意識にコントロールする反射のことです
- 伸張反射:筋肉の伸び縮みに関する反射のことです(膝蓋腱反射、アキレス腱反射)
- 屈曲反射(逃避反射):危険があるととっさに手を引くというような反射のことです
- 瞳孔反射(対光反射):目に光を当てると瞳孔が縮まる反射のことです
- 瞬目反射:眼に危険があると眼を閉じる反射のことです
- 延髄反射:くしゃみや、食べ物を口に入れると唾液が出始める反射などがあります。梅干しを見ただけで唾液が出る(条件反射)ことは、経験による反応なので反射とは違います。
- 原始反射:新生児や幼児期に特定の刺激に対する反射のことで、成長とともに失われます。手に物が触れると握り返す握り反射や舌に触れたものを吸おうとする吸てつ反射などがあります
- 他にも咽頭反射や病的反射などもあります。
姿勢反射
姿勢反射:人間が直立姿勢を保持し続けたり、運動時に一定の姿勢を保持し続けていることは反射によるものが多いです。
この姿勢制御の発達は、受胎時と生後の重力下(地球引力)で学習することによるものです。学習で身につける理由は、遺伝的に発達手順が決められていて、変化する下界環境に応じるものだとも考えられています。
この姿勢保持は単一の反射によるものだけではなく、幾つかの反射系および随意運動も関係して総合的に行われています。
例えば平衡感覚は常に体の安定を保つために重要なはたらきを果たしています。しかし姿勢反射のみでは鋭敏でないため視覚や聴覚に補助してもらっています。このことからも、単一の反射によるものだけではなく複合的なものだと言えます。
姿勢反射の姿勢制御の発達には、重力下で学習が必須なのであれば、カラダに正しい立位を学習させるのと、そうでないのとでは健康への影響も大きいと思われます。立位に限らず、ソファーに座っている姿勢や車に乗っている姿勢や仕事をしている姿勢など、今現在地球上にいる限りカラダは重力下で学習し続けています。もし崩れた姿勢で学習を続けていれば、体は歪んだ状態で姿勢保持し続けて、腰痛や首痛などの痛みとして現れるのではないでしょうか。これを機にもう一度正しい立位や座位を見直してみてはいかがでしょうか。たとえ今歪んでいたとしても、正しい立位を意識していればカラダは学習し、やがて無意識に不随意に正しい立位に変えることが可能なのです。
ハム
カピバラさん
まとめ:脳と反射と立位
脳のはたらき
脳のはたらきを大きく分けると5つあります。
- 感覚・認識
- 運動の制御
- 意識
- 感情・情動
- 記憶・学習
2.運動の制御
運動の制御には、意識的に行う随意運動と無意識に行っている不随意運動との2つあり、不随意の反射は数多く分類されています。
姿勢反射
反射の1つにある姿勢反射は、立位や運動姿勢など姿勢を無意識に維持しようとする反射のことです。
さらに、生まれながらに備わっているだけではなく、重力下で学習していくという特徴があります。
カラダは立位などの姿勢保持を重力下で学習していくならば、正しい立位が必須になってきます。
最後に
ノーベル生理学・医学者のステングリルナーは
『歩くリズム、リズムの速さの調節、歩幅は、末梢からの電気信号によって駆動され反射性運動が引き起こされる』
このようなことを1981年に発表しています。この末梢という単語は、私がトレーナー資格をもっているレッシュ(4スタンス理論)的には「土踏まず」ではないのか?と思わずにはいられません。しかも、姿勢制御の発達には重力下での学習が必須というのは常識レベルとなると、なおさら「土踏まず」という単語が頭にちらつきにやけてきます。レッシュ理論(4スタンス理論)では、土踏まずの状態で脳が安定や平衡感覚を認知していると考えています。こうやって古の先達者の本懐は崩さずに少し曖昧になっていた部分が、パズルの欠けたピースがピタッとはまるように、レッシュ理論(4スタンス理論)は埋めていくことができるのではないかと考えています。