「これが出来たらご褒美あげるね」はやる気をなくすご褒美だった!

kids

子供の頃からご褒美は嬉しかった記憶があり、大人になると今度はお子さんにご褒美をあげているのではないでしょうか?

親トリさん

宿題できたらゲームしていいよ

親トリさん

テストで80点以上取れたらお小遣いあげるよ

親トリさん

今日の試合勝ったら欲しいもの買ってあげるよ

などとあらゆる場面で結果に対してご褒美をあげているのではないでしょうか?

しかし上記の3つとも、その後のやる氣ダウンにつながってしまう声かけなのです😱

実はこのご褒美をあげるタイミングで、その後のやる氣アップ😆やる氣ダウン😞に大きく影響する傾向があることが分かってきました。

やる気をなくすご褒美①:デシ博士の実験

エドワード・L.デシ

社会心理学博士 ロチェスター大学教授

デシは男女の大学生をグループAとグループBに分けて、ソーマキューブを用いた実験を3日間に渡り行いました。

ソーマキューブとは:7つの立体のピースを3×3×3の立方体に組む箱詰めパズルです。

実験では、毎日違った3つの完成図案と同じになるように、パズルを組み立ててもらいました。

グループA

1日目:パズルをする

2日目:パズルが完成したら、その都度1ドル支払う約束を事前に話しておく

3日目:報酬がなくなったと伝え、報酬なしでパズルをする

グループB

1日目:パズルをする

2日目:パズルをする

3日目:パズルをする

この実験をおこなったところ、ご褒美を約束されたグループAは2日目熱中してパズルをしましたが、3日目はあまりパズルをやらなくなってしまいました。そしてただパズルをしていたグループBはパズルの楽しさが増して3日目が一番パズルに熱中したという結果になったのです。

最初はパズルを楽しんでいたのに、報酬を事前に伝えることで、目的が「パズルを完成させる」から→「ご褒美をもらう」に変わってしまいました。そのため3日目には「もうやらなくていいや」「やっても意味ないね」という思考に変わってしまいました。

こういう思考の変化をアンダーマイニング効果といいます。

やる気をなくすご褒美②:マーク博士とデヴィッド博士の実験

マーク・R・レッパー博士

スタンフォード大学心理学教授

デヴィッド・グリーン博士

心理学名誉教授

幼稚園児を3つのグループに分けてお絵描きをしてもらいました。

グループA

絵を描いたらご褒美(賞状とリボン)をあげることを事前に伝えておき、絵を描いたらご褒美をあげる

グループB

ご褒美をあげることは伝えず、絵を描いたらサプライズでご褒美(賞状)をあげる

グループC

絵を描いてもご褒美はあげない

2週間後の結果は、グループBとグループCはその後もお絵描きを楽しむ姿がありました。しかしグループAはその後、半分くらいの時間しかお絵描きを楽しむ姿がなくなってしまいました。

この実験でもアンダーマイニング効果により、ご褒美をもらうことが目的化してしまった結果、お絵描きをすることへの興味や関心がうすれてしまうことが分かりました。

さらにお子さんがやりたくないことをご褒美で釣ると「指示待ち人間」になりやすいと言われています

親トリさん

そんなん言うたら、うちの子全然宿題しなくなるよ😰

改善策はあります😊

マイ

やる気があがる良いご褒美①:サプライズ

やる氣の上がるご褒美とは、マーク博士のお絵描き実験でのグループBの、サプライズのご褒美です!

サプライズのご褒美はアンダーマイニング効果が発生しづらいので、どうしてもあげたい場合にはサプライズであげてください。

ご褒美のことは伝えずに、やるべきことをやったら「これあげる」とサプライズで渡すことをおススメします😊

やる気のあがる良いご褒美②:プロセスや努力を褒める

結果や成果にたいしてご褒美をあげると、やる氣は下がってしまいますが、

プロセス(過程)やそこに対する努力を褒めて、そこにご褒美をあげると逆にやる氣は上がると言われています。

宿題やテストの点数を「達成した」、「終わらせた」という結果に対してご褒美をあげるとアンダーマイニング効果が発生してしまいますが、「宿題を一生懸命取り組んでいて良かったよ」とか「毎日学校でしっかり授業きいてるんだろうね」というところに焦点をおいてご褒美をあげる分にはむしろやる氣は上がるのでいいと思います。

やる気の上がる良いご褒美③:モノより言葉

「モノ」というのはいつかなくなってしまいます、ゲームはその時の時間で、おもちゃも飽きたら終わり、お菓子は食べたら終わりですが、「言葉」は響くものはいつまでも心に残っています。嬉しい言葉は大人になっても残っているものです。「モノ」をあげることもいいですが、プロセス(過程)や努力に対してまずは「宿題を一生懸命取り組んでいて良かったよ」「毎日学校でしっかり授業きいてるんだろうね」などと褒める言葉を伝えてあげてください。

まとめ

これらのことをふまえて冒頭の声掛けを

「宿題できたらゲームしていいよ」は宿題とゲームを分けて、子供のスケジュールと考えて

親トリさん

今日の宿題の時間とゲームの時間、何時から何時までか教えて

などと子供が決定しているようで実は選択肢を誘導しています。もしくは、ゲームの話題は出さずに宿題の時間を決めてアラームは子供がスタートします。この時間を例えば15分に設定して、休憩をはさみつつ何度もリスタートを子供が押して繰り返すのもいいと思います。

次は「テストで80点以上取れたらお小遣いあげるよ」はテスト前の声掛けですが、お小遣いをあげたかったらテスト後にいい点を取っていたら、点数(結果)を褒めるのではなく

親トリさん

テスト週間中熱心に勉強してたね。感心したからお小遣いあげるよ!

と努力を褒めて、サプライズでお小遣いをあげるといいと思います。お小遣い(モノ)をあげなくても声掛けで、自分をいつも見てくれているという思考になるので充分です。

3つ目の「試合で勝ったら欲しいもの買ってあげる」も試合前にそのような声掛けをすると、今後の競技に対するモチベーションが下がるので、テストと同様に試合後にプロセス(過程)や努力を褒めてサプライズで欲しいもの買ってあげることをおススメします。

他にも

親トリさん

お小遣いあげるから、おつかい行ってきて

と自分が頼みたいことを報酬で釣りたくなりますが、報酬はあげなくても大丈夫です。

親トリさん

ひよこちゃん、おつかい行ってきて。その間にご飯作るね。

おつかいに行ってくれた後の声掛けに「ありがとう。助かるよ」もいいのですが、

親トリさん

ありがとう。ひよこちゃんがいてくれて良かったぁ

と「いてくれて」という言葉がより、お手伝いしたことによって

「両親に頼られている」「困っている両親を助けている」「自分は必要な存在なんだ」

ひよこちゃん

という思考から自己肯定感が強まります。なので報酬はあげなくていいのです。


今回は50年以上前から心理学で検証され実証されていることを書いてみました。

ご褒美をあげる時は、

  • ご褒美があることを伝えるタイミングは大丈夫か?
  • ご褒美は結果や成果に対するものではなくて、プロセス(過程)や努力に対するものなのか?
  • 言葉で伝えているか?

などと確認したうえでご褒美をあげると、お子さんにとって良いご褒美になるので是非やってみてください😊

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